【自己紹介シリーズ】夫が突然倒れました その日⑨

”ショックな出来事が訪れた時、人は自分を見つめる第二の自分を生み出す”という話を聞いたことがあった。
あの時の私は、そうだったのかもしれない。
恐怖で体が震え、119も思い出せないほどパニックなのに、
頭のどこかが冷静なのだ。
だから、救急車に乗り込むときも、家のカギやスマホを持って出てくることができたし、

救急車の中で夫のご両親に電話で状況を伝えることもできた。
次に何をして、どんな態度でいなければならないか、しっかり判断できていた。

なのに、私は靴も履かずに家を出ていた。

救急隊や医師に状況をちゃんと話せるのに、ご両親が病院についたとき、
子供のように泣いてしまった。

それはちょっと怖い体験だった。

冷静な私は、パニックになる私を、まるで夫の急病に見舞われた悲惨な妻を演じているように感じたからだ。
泣いている自分の激した感情も本当。だけど、感情が激したすぐ後に、
冷静の波がやってきて、まるでドラマでも見ているような、冷静な気持ちになる。
そんな日々は、この日から1週間ほど 続くことになる。